サステナビリティ委員長
メッセージ
MESSAGE FROM THE SUSTAINABILITY COMMITTEE CHAIR
社外の視点を取り入れて議論し、
経営に反映させる
当社は、2022年9月、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、私が委員長を拝命いたしました。社外取締役を委員長とするコミッティ(委員会)を新たに立ち上げたのは、サステナビリティについて「社外の視点を取り入れて多角的に議論し、経営に反映させていく」という意志表示でもあります。
今後、サステナビリティ経営を推進していくうえで重要になるのがメッセージ発信力です。全国の日産系ディーラーにおいても最大級の規模を誇る販売会社である当社は、時代に先駆けて環境性能や安全性能を追求してきた日産車の価値や日産グループのサステナブルな価値観を、お客さまをはじめとするステークホルダーにわかりやすく伝えていく役割を担っているからです。
例えば、EVの普及促進はカーボンニュートラルに欠かせない社会課題であり、その実現のためにはEVの環境性能や社会貢献性などについて販売会社が詳しくご説明し、お客さまに共感していただく必要があります。ただし、担当者の理解度や伝え方によって、EV本来の価値が100%伝わることもあれば、十分にご理解いいただけないこともあります。そのため、当社の社員一人ひとりがEVの価値をより深く理解し、多くのお客さまから信頼と共感を得られるよう積極的にメッセージを発信していかなければなりません。
カーボンニュートラル、
人権・人的資本が最重要課題
当社は2022年11月、長期的視点から対処すべき重要課題(マテリアリティ)として「気候変動への対応」「安心・安全な社会の実現」「人権の尊重と人的資本の充実」「地域社会への貢献」を特定しました。私はそのなかでも「気候変動への対応」と「人権の尊重と人的資本の充実」が最重要課題だと考えています。これらは国際社会における喫緊の課題であり、当社の事業の根幹に関わる問題でもあるからです。
「気候変動への対応」では、EVやe-Power車などの電動車の販売比率を高めていく必要があります。そのためには、ガソリン車1台が電動車に代わることによって、クルマのライフサイクルで排出するCO₂をどのくらい削減できるかを見える化し、その価値をわかりやすく発信していくことが大切です。
「人権の尊重と人的資本の充実」については、2つポイントがあります。1つは自社のみならずサプライチェーンも含めた人権侵害をなくすことであり、グループ社員の意識啓発が重要です。働き方改革などの待遇改善やキャリアアップ、仕事を通じた自己実現などによって、社員一人ひとりが「この会社で働いていて良かった」と実感すれば、社員のエンゲージメントや、仕事におけるモラルも高まり、自ずと人権意識の向上につながるはずです。もう1つは、当社グループの成長戦略に合わせた人財の確保・強化です。クルマの販売・サービスにおいては、人財の差 = 競争力の差であり、人的資本の強化が企業価値の向上に直結します。そのため今後は、整備部門に欠かすことのできない外国籍の社員のキャリアアップなど、長期的視点に立った具体的な人財戦略が求められます。
このほかにも「安心・安全な社会の実現」においては、家庭用の蓄電池としての活用推進など、クルマに加えて「暮らしの安心・安全」をも実現する存在として、EVの付加価値を訴求していくことが大切です。また4つ目の「地域社会への貢献」では“Think Global, Act Local”の実践、すなわちグローバル基準で開発・製造されたEVを、首都圏という当社の事業エリアのお客さまにいかにアピールし、普及させ活用していただくかが最大のテーマです。とりわけ東京都はEVの普及促進に熱心であり、環境意識の高いお客さまも多い地域です。このような特色を持った地域社会との連携をいっそう強化し、ともにサステナブルな社会の実現に貢献していくことは、EV販売のパイオニアである当社の使命でもあります。
EVの先駆者としての付加価値を
どのように最大化し、伝えていくか
当社では、今後も積極的な情報発信やステークホルダーとの対話を通じて、自社に足りない部分や見落としていた課題などを認識し、具体的なアクションプランを作成していきます。また、その実行を促進するための仕組みづくりも欠かせません。例えば、EVの普及には、販売台数・金額といった「量」だけでなく、EV比率といった「質」の部分についても評価基準を設け、販売現場にインセンティブを付与していくといった施策が必要になるはずです。サステナビリティ委員会では、こうしたサステナビリティの視点に立った新たな戦略・施策づくりに関しても積極的に提言していく方針です。日本のEV市場は国内外メーカーの新規参入などにより、数年後には激しい販売競争が繰り広げられる“レッドオーシャン”となる可能性があります。EVの先駆者である日産グループならではの付加価値をどのように最大化し、お客さまに伝えていくか——販売会社として当社が主導的に取り組むべき役割はいっそう重みを増しています。グループの社員一人ひとりがこうした役割を認識し、全員が高い使命感と誇りを持って実践していけるよう、私たちサステナビリティ委員会も全力でサポートしていきます。
長谷川 直哉